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2009.07.02

学芸員資格認定試験と放送大学

2012年6月9日追記:
以下の記述は、平成24年の改正前の記述です。「平成24年改正の学芸員資格について」の方も合わせて参照ください。
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そういえば先日、放送大学と試験認定を利用して学芸員の資格を取得しました。(正確には学芸員補ですが……詳細は後述します。)
というわけで自然科学系の博物館で採用情報が出るたびに出しているのですが、連敗続き。どこかの博物館で雇ってくれんもんじゃろか。

さて、学芸員資格は制度が色々と複雑なので、ここにまとめておこうと思います。この文書は主に、「大学を卒業して一般の会社で働きはじめてから学芸員資格が取りたくなった」という方をターゲットに書いてあります。疑問等あればお気軽にコメントかメールください。


■学芸員資格の取り方
学芸員の資格を取得する方法については、以下のように法律で規定されています。
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(1) 学芸員課程を設置している大学で必要な単位を全て取得し、大学を卒業する。
(2) 既に大学を卒業している人(学士)が、学芸員課程を設置している大学で必要な単位を全て取得する。
(3) 既に大学を卒業している人(学士)が、学芸員資格認定試験を受験して合格する。
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(1)と(2)の場合、「学士と単位が必要」とだけ決められているので、卒業する大学と単位を取得する大学は全く別でも問題ありません。主に、現在大学生の方は(1)、既に働いている方は(2)でしょう。

私は(3)を選びましたので、以下ではこの手順について説明します。


■学芸員資格認定試験のしくみと、その罠について
学芸員資格認定試験については、まずは素直に文部科学省のページを見るのが分かりやすく確実です。
学芸員について

この学芸員資格認定試験は、試験を受験するための条件が設定されています。以下のどれかを満たさない場合、試験自体がそもそも受験できません。

博物館法施行規則
第五条 左の各号の一つに該当する者は、試験認定を受けることができる。
一 学士の学位を有する者
二 大学に二年以上在学し、六十二単位以上を修得した者で三年以上学芸員補の職(学芸員補の職に相当する職又はこれと同等以上の職として文部科学大臣が指定するものを含む。以下同じ。)にあつた者
三 教育職員の普通免許状を有し、三年以上教育職員の職にあつた者
四 五年以上学芸員補の職にあつた者
五 その他文部科学大臣が前各号に掲げる者と同等以上の資格を有すると認めた者

学校の先生などでない場合、ほとんどの人は上記のうちの第一号、「学士の学位を有する者」として受験すると思います。私もこれで受験しました。
しかし、実はここに大きな罠があるのです。
第5条第1号受験者の合格者は、1年間学芸員補の職の職務に従事した後に、「試験認定合格者」となります(「博物館法施行規則」第十二条を参照(P17))。
 具体的には、授与された「合格証書」の裏面に、「博物館法施行規則の規定による学芸員補の職の職務に1年間従事した後に効力が生ずる」旨のただし書きが記載されますので、学芸員補の職の職務に従事した経験を当該博物館から「勤務証明書」等で発行してもらい、合格証書と一緒に保管し、資格があることを証明したい相手に(採用試験等)提示することになります。

これは要するに、「試験を受けるときに第五条第一号扱い(すなわち、大卒)で受けた人は、試験に合格しても学芸員にはなれません。学芸員補として扱われるので、その状態で1年間の実務経験を得たら、はじめて"補"が取れて学芸員になれます」ということです。
つまり、大学を卒業して後から試験だけ受ける場合、学芸員資格認定試験を合格しても学芸員資格は得られないのです。資格ガイドなどを見ても、このことをきちんと理解して書いているものは非常に少ないため、知らない方も多いと思います。

なぜこんなことが起きるかと言いますと……試験科目を見れば分かりますが、試験認定では「博物館実習」に相当する科目がありません。一方、第五条の各項は、一号以外は皆その職が博物館実習とみなされるようなものばかりです。(教員経験だけで実習と言っちゃっていいの? という議論はさておき)。
そのため第一号の受験者のみ、博物館実習に相当させる修行(?)を行わせるため、学芸員補として1年の業務経験を必要としているわけです。

■試験科目
試験科目は、以下の通り。
*必須科目
生涯学習概論
博物館学
視聴覚教育メディア論
教育学概論

*選択科目(2つ選択)
文化史
美術史
考古学
民俗学
自然科学史
物理
化学
生物学
地学

私は選択科目は、生物学と物理を選択しました。受験者は文系の人が圧倒的に多いので、理系の選択科目は非常にレアです。


■放送大学を利用した学芸員資格認定試験の科目免除申請について
私は放送大学の学生だったため、試験認定のために放送大学の科目を利用しました。放送大学についての説明はここではしません、適当に検索してみてください。

放送大学では、博物館実習以外の科目は全て用意されています(※注)。そのため放送大学で全ての関連単位を取得すれば、試験認定は全科目免除で受けることができます。
また、さらに博物館実習の単位をよその大学で取得すれば(早稲田大学文学部 学芸員資格課程 夏期集中講座など)、放送大学の単位と合わせてそのまま学芸員の資格が取得できます。

私はスケジュールの都合上、全科目免除ではなく、一部科目を放送大学の単位で免除申請して、残りの科目は試験を受験しました。
具体的には以下の通りです。

*放送大学の単位を免除申請
-博物館学 ([博物館概論]、[博物館資料論]、[博物館経営・情報論]を申請)
-生物学 ([細胞生物学]を申請)

*試験を受験
-生涯学習概論
-視聴覚教育メディア論
-教育学概論
-物理

実際の試験の様子は、最後の「学芸員資格認定試験体験記」に書いてます。

(※注)平成20年2学期をもって放送大学の「情報技術と社会('05)」が閉講され、「視聴覚教育メディア論」に対応する科目が無くなりました。そのため現在は全科目免除で試験を受験することはできなくなりました。
まぁ、視聴覚教育メディア論はそんなに難しい試験ではないので、これ1科目だけ受ければいいと思います。


■過去問題集について
2005年頃までは、学芸員資格認定試験の問題は日本博物館協会発行の雑誌「博物館研究」に掲載されていました。が、ここ数年、載せるのをやめたようです。
現在は、過去問は日本博物館協会から直接購入することになっています。協会に電話して聞くと、振込先など購入手続きを教えてくれます(せっかくWebページ持ってるんだから、いちいち電話させずに書いておけばいいのに)。
過去問が無いと勉強できませんから、必ず買いましょう。値段は忘れましたが、そんなに高くなかったような。なお過去問は問題のみで解答はありませんが、まぁ普通に調べれば分かるような問題ばかりなので大丈夫です。

ちなみに過去問を購入すると、ところどころに問題に抜けがあるのですが、これは「その年に誰も選択しなかったため作成されなかった科目」です。理系科目に多い。


■学芸員資格認定試験の体験記
試験は2日間に分けて平日に行われますので、サラリーマンの方はきちんと事前に休みを申請しておきましょう。
スケジュールは以下の通りで、例年変わりないようです。
*1日め
9:30-10:50 教育学概論
11:10-12:30 視聴覚教育メディア論
14:00-15:20 文化史/物理/地学
15:40-17:00 美術史/民俗学/化学/生物学

*2日め
9:30-10:50 生涯学習概論
11:10-12:30 博物館学(筆記)
14:00-15:20 考古学/自然科学史
14:00-17:00 博物館学(口述)


試験会場は、上野駅の国立教育政策研究所のみです。関東以外に在住の方は、来るのがちと大変です。
受験者は、かなり年齢バラバラです。見た目、博物館職員っぽい人も結構います。若い人も多かった。

試験の傾向としては、やたらと時事ネタ(?)が多いなぁという印象です。去年の法改正でどこが変わったかとか、答申の内容とか。
これは教育学という学問の試験なんだから、こんな時事ニュースクイズみたいのじゃなくて、社会教育法の意義とかを聞くべきだと思うんだがなぁ……と私は不満に思いました。

難易度は大学一般教養レベルですが、採点が随分甘いようで易しい試験だと思います(生涯学習概論は絶対に落ちたと思ってたら合格だった)。

ちなみに選択科目は私は「物理」を受けましたが……なんと当日、物理を受験したのは私一人だけでした! ちなみにおとなりの列は「地学」でしたが、そちらも一人だけ。私一人のためだけに採点する物理の先生がいると思うと、なんだかおかしくなりました。
物理も難易度は低めで、流石に私の専門中の専門なのでほぼ満点でした(たぶん)。合否だけ出て点数は分からないので、実はギリギリだったりして。

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コメント

ozuma様

はじめまして。

放送大学で不足単位を取得し,資格認定試験で学芸員資格を取ろうと調べていたところ,こちらのブログにたどり着きました。

2009.07.02の「学芸員資格認定試験と放送大学」の記事を読ませていただき,たいへん勉強になりました。
私は,ほとんどを科目免除申請しようと考えています。

そこで,質問です。

物理の専門家のozuma様がなぜ「選択科目物理」の試験を受験されたのでしょうか。
つまり,大阪大学時代に取得された単位で科目免除申請はできなかったものなのでしょうか。謎です。

わたしは,大学時代に取った化学概論とか生物学概論とかの単位で科目免除申請しようと考えていました。
教えてください。

投稿: 港魂 | 2014.08.29 12:09

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